187 企業の負債と経済成長の関係

企業 負債 成長率

1. 増え続ける企業の負債

前回は、日本で変質著しい企業の金融資産について、他国との比較をしてみました。
日本企業は近年金融資産を大幅に増やしていますが、各国ではそれ以上の勢いで増えている実態がわかりました。

通常、企業は負債を増やして事業投資を行い、付加価値を増大させて、消費者でもある労働者への分配を増やしていきます。
ストックの面で見れば、純金融負債が増えていく存在です。
しかし日本企業の純金融負債は増えるどころか、目減りしている状況ですね。

前回金融資産について確認しましたので、今回はもう一方の負債に着目してみましょう。

企業 負債 推移

図1 企業 負債 推移

図1はOECD各国の企業の負債について、ドル換算値の推移をグラフ化したものです。

相変わらずアメリカは圧倒的な存在感で、右肩上がりで増大しています。
日本は1994年の時点では、そのアメリカとほぼ同程度の水準でしたが、その後はずっと横ばいが続いて、大きな差をつけられています。

その他の国は右肩上がりで増大していますが、中でもフランスの存在感が大きいようです。

フランスは企業の金融資産も多く、企業部門の金融の動きが活発な様子が見て取れます。

2. 企業の負債の成長率を見てみよう!

それでは、各国の企業の負債について、成長の度合いを比べてみましょう。

企業 負債 成長率

図2 企業 負債 成長率

図2が企業の負債について、1995年を基準にした場合の成長率(各国通貨ベース)です。

日本はほぼ横ばいが続いています。
金融資産は近年やや増加傾向で、1995年の1.5倍程度まで増加していましたが、負債の方はほぼゼロ成長ですね。
差引の純金融負債が目減りしているのは、負債が増えず、金融資産が増えているからと言えそうです。

他国は負債も右肩上がりで増えています。
ただし、イタリアはリーマンショック前から横ばいですね。

1995年の水準に対して、ドイツで2.5倍、イギリスで3倍、アメリカやフランス、カナダで5倍程度の成長です。

日本企業は負債を増やしていない、という事は大きな特徴のようです。

3. 1人あたりでも見てみよう!

それでは、各国の人口で割った「1人あたりの企業の負債」も見てみましょう。

企業 負債 1人あたり

図3 企業 負債 1人あたり

図3が人口1人あたりの企業の負債をグラフ化したものです。

日本はやはり横ばいが続いていますが、他国は右肩上がりですね。

リーマンショックあたりから、イタリアだけでなく、ドイツ、イギリスも横ばい傾向です。

1995年の時点では、日本では極めて高い水準でした。
確かに円高の時期なので、ドル換算値だと高めに評価されますが、それを差し引いても極めて大きな水準ですね。
1990年代のバブル崩壊後、企業の設備が高い水準であったことを思い出せば、その裏で負債が大きくなっていたという事もつじつまが合います。

4. 企業の負債額も順位を落とす日本

それでは1人あたりの企業の負債について、1997年と直近での順位も眺めてみましょう。

企業 負債 1人あたり

図4 企業 負債 1人あたり 1997年

図4が1人あたりの企業の負債について、1997年の数値を大きい順に並べたグラフです。

日本は91,330$でこの中では3番目に大きな水準でした。
北欧諸国や人口の少ないルクセンブルクが大きな数値になるのはわかりますが、オランダが日本よりも上位であったことは意外ですね。

当時日本はアメリカやフランスなどよりも水準が大きく、ドイツの2倍以上、OECD平均値の約2倍でした。

企業 負債 1人あたり 2019年

図5 企業 負債 1人あたり 2019年

図5が2019年のグラフです。

日本は123,781$と数値としては1997年よりも大きくなってはいるものの、順位を大きく下げています。

OECD36か国中15位と中位にまで下がっていますね。

アメリカはもちろん、フランスやカナダにも抜かれ、イギリスやドイツに追い上げられている状況です。

一方でオランダは順位を落としてはいますが、かなり高い水準をキープしています。

企業の負債が増えるという事は、何かしらの事業投資を行っている事を意味しますね。
一方で日本の企業は負債が増えていません、国内での事業投資から金融や海外投資へと変質している状況が今回のデータでも良くわかるのではないでしょうか。

そして重要なことは、このような「企業の変質」が先進国共通のものというよりも、日本特有とも言える状況と言える事ですね。
他国では企業の負債は増えています。

政府の負債や、規制・税制などに注目が集まりがちですが、企業の変質についてももっと注目されるべきではないでしょうか。
モノやサービスの値段を直接的に決めるのも、消費者でもある労働者への給与を支払うのも企業です。

日本の今後の経済を考えていくうえで、「政治・政策的な解決」と、「企業活動の正常化」の両輪が必要なように思います。

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