162 資本の蓄積とは何だろう?

非金融資産 生産資産 1人あたり 推移

1. 国民の資産は増えているのか??

前回は、物質的な豊かさの蓄積を表す、非金融資産についての推移を見てみました。

非金融資産のうち、土地などの非生産資産は日本だけバブルの影響を受け1990年ころに極端に高い水準となり、その後下落傾向が続きます。
一方、住居や橋梁、機械設備などの生産資産は、ある程度高い水準は維持しているものの、総額としては停滞が続いています。

生産資産は、総資本形成の蓄積となりますね。
日本では、フローとしての総資本形成が停滞していますので、その蓄積である生産資産も停滞しています。
実際には、固定資産は耐用年数が設定されているはずですので、年々減価償却により資産価値が減少していきます。

新規に投資される資本形成のプラス分と、減価償却により目減りする分がちょうど釣り合っているくらいの状況という事だと思います。

今回は1人あたりの価値として、これら非金融資産はどの程度の水準なのかを比較してみましょう。

非金融資産 1人あたり 推移 ドル換算 OECD

図1 非金融資産 1人あたり ドル換算 推移
(OECD統計データ より)

図1は非金融資産の合計値の推移グラフです。

やはり日本は1人あたりに直しても、1990年代に突出して資産を多く持っており、そのまま200,000~300,000$の間で停滞していますね。

直近ではフランスや韓国に抜かれ、カナダやイギリスにも追い抜かれそうです。

特別に非金融資産を多く持つ国から、先進国で中程度の国に落ちぶれたという表現をしても良いのかもしれません。

2. 土地神話の崩壊を可視化。。。

非金融資産は土地や漁場などの非生産資産と、住居や機械設備などの生産資産に分かれます。

日本は不動産バブルにより、極端に土地の高騰を招いた経緯があり、それが非生産資産として大きく計上されていますね。

1990年代~2000年代の非金融資産の多くはこの非生産資産のうち、不動産価格が過剰評価されている分として見ることができると思います。

非金融資産 非生産資産 1人あたり ドル換算 推移 OECD

図2 非金融資産 非生産資産 1人あたり ドル換算 推移
(OECD 統計データ より)

図2が非金融資産のうち、非生産資産のグラフです。
やはり1990年代の不動産バブルの影響が大きいことがわかりますね。

日本の非生産資産は趨勢的にはマイナス傾向と言えそうです。
グラフ中のピーク(160,000$程度)からは約半分になっていることがわかりますね。


比較対象が少ないのですが、他の国は基本的には右肩上がりですね。
直近では韓国、フランスはおろか、イギリスやカナダにも抜かれて差をつけられています。

日本の不動産バブルの影響は、少なくとも土地の価値という面では解消されているものとみてよさそうですね。
国内データをみても、1990年のバブル崩壊から下落一方だった生産資産が、2005年あたりに一度底を打っています。

3. 豊かさの蓄積=生産資産の水準とは

日本の非金融資産は、バブルの影響による非生産資産の過大評価を含みますので、他国との公平な比較が難しいです。
実際には、生産資産で評価するのが最も実態を反映しているのではないでしょうか。

非金融資産 生産資産 1人あたり ドル換算 推移 OECD

図3 非金融資産 生産資産 1人あたり 推移
(OECD統計データ より)

図3が非金融資産のうち生産資産のグラフです。
生産資産には、住居(主に家計)、機械設備(主に企業)、橋梁などの一般建造物(主に政府)で構成されます。
いわゆる固定資産ですね。

生産資産はアメリカの統計データも含まれます。

日本は停滞気味ながらやや上向き傾向ではあります。
直近で1人あたり130,000$の生産資産を持っていることになります。

やはり1990年代は他国と比べて高い水準ではありますが、非生産資産ほどではないですね。
停滞している中で、アメリカに抜かれ、フランスと抜きつ抜かれつしているうちに、韓国やカナダ、イギリスに追いつかれつつあります。

生産資産についても、やはり特別な国から、中位に埋もれる普通の先進国となりつつあるようです。

今回は、「国富」のうち非金融資産の1人あたりの水準について、国際比較をしてみました。
日本はバブルの影響が顕著ですが、その影響も近年では解消されていると理解できます。

また、最も重要な物質的豊かさを示す生産資産では、先進国の中で中位に埋没しつつある状況もわかりました。

やはり、フローであるGDPのうち総固定資本形成が減少・停滞しているので、その蓄積である生産資産(固定資産)も停滞しているという事ですね。

日本は対外投資が盛んですが、別な言い方をすれば、海外に資本が流出していると言えます。
国内への投資が減って停滞しているにもかかわらず、海外への投資を優先してしまっているという事ですね。

投資が減れば、当然海外に対して相対的に豊かさの程度も減少していくという事だと思います。

いつまでも国内への投資が減少したままだと、日本は資本の蓄積でも世界に後れを取る事になりそうです。

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