EX4 豊かなはずの家計資産の正体とは

貯蓄額 世帯分布 60歳以上

1. 消滅しそうな30歳未満世帯

日本では、全体的に高齢の労働者が増え、若年層が減っています。

そして、全体的に給与水準が減っていて、貧困化している事がわかりました。

その中でエリートとも呼べる大企業でのみ、若手の給与水準が上がり、大きく人数が減っています。

まさに、エリート層が先鋭化し、格差が開いている状況ですね。

今回は、「増え続ける家計資産の謎」を追うべく、家計の貯蓄について取り上げてみたいと思います。

そうなのです、労働者は貧困化が進んでいるのに、家計資産は増え続けている、という不思議な現象が日本では起こっています。

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家計資産の多くは「預貯金」です。

貯蓄額は、世帯ごとに集計されていますので、ここでは世帯主の年齢階層別のグラフをご紹介していきます。

まずは30歳未満から見ていきましょう。

貯蓄額 世帯分布 30歳未満

図1 30歳未満 貯蓄額 世帯分布
(国民生活基礎調査より)

青が1998年、赤が2016年のグラフです。

貯蓄額が不詳の世帯は除外してあります。

まず、世帯数そのものが激減していますね。

1996年では381万世帯だったのが、2016年には139万世帯と、3分の1程度に激減しています。

少子化と晩婚化により、親世帯から独立して30歳未満で世帯主になる人が減っているという事でしょうか。

2. 減少しつつも2極化していく30代世帯

貯蓄額 世帯分布 30代

図2 30代 貯蓄額 世帯分布
(国民生活基礎調査)

図2が世帯主の年齢が30代の貯蓄額分布です。

世帯数は、1998年で556万世帯、2016年で428万世帯です。

やはり100万世帯以上減少しています。

特徴的なのは、全体的に世帯数が減っている中で、貯蓄ゼロ世帯がほとんど変わらず、

1000万円以上の貯蓄世帯が増加している点ですね。

30代の所得で高所得層が増加している事と関係があるのかもしれません。

中程度の貯金額の世帯が大きく減っていますので、30代全体としては貯金額は減少していると言えそうです。

4. 没落し2極化が進む40代、50代世帯

貯蓄額 世帯分布 40代

図3 40代 貯蓄額 世帯分布

(国民生活基礎調査 より)

図3が世帯主の年齢が40代の貯蓄額分布です。

総数は、1998年で867万世帯、2016年で714万世帯です。

男性の労働者数は40代が増えているはずなのですが、世帯数では150万世帯も減少しています。

分布を見ると、やはり貯蓄ゼロの世帯と、1000万円以上の貯蓄世帯が増え、それ以外が減少しています。

世代全体の貯蓄額としては、減少しているようです。

働き盛りの40代で貯蓄ゼロ世帯が増えているのが気にかかりますね。

貯蓄額 世帯分布 50代

図4 50代 貯蓄額 世帯分布
(国民生活基礎調査 より)

図4が世帯主が50代の貯蓄額分布です。

世帯数は1998年が960万世帯、2016年が748万世帯です。

やはりゼロ貯蓄と、高額貯蓄の世帯が増えて2極化していますね。

やはり中程度の貯蓄額の世帯が激減していますので、貯蓄額総額では、減少しているはずですね。

5. そして、高齢世帯がとんでもなく増えた。。

貯蓄額 世帯分布 60歳以上

図5 60歳以上 貯蓄額 世帯分布
(国民生活基礎調査)

そして図5が、世帯主の年齢が60歳以上の貯蓄額の分布です。

世帯数は、1998年に1,634万世帯だったのが、2016年には2,469万世帯に激増しています。

実に800万世帯以上増加していますね。

高齢者の貯蓄が多いのは、住宅ローンの返済が終わり貯蓄に回せるお金が増えた、退職金によりまとまったお金が入った、定年年齢が引きあがるなど働く高齢者が増えた、年金の受給が始まるが消費も減るため差し引きのゆとりが増えた、など色々な要因が考えられそうです。

貯蓄額の分布も全体的に増えていますが、やはり貯蓄ゼロの世帯と1,000万円以上の世帯の増加が著しいので、2極化も進んでいるようです。

6. 没落する勤労世帯、豊かになる高齢世帯

いかがでしょうか、世帯主の年齢層別に貯蓄額を見てきました。

世代ごとに全体としてみた場合は、明らかに60歳以上の高齢層の世帯数と貯蓄ばかりが増加しています。

それ以下の年齢層では、世帯数も貯蓄額も減少している事になります。

まずは、高齢者は全体として豊かになっている、それ以外(主に勤労世帯)は全体として貧しくなっている、という事が言えそうです。

その中でも、それぞれ2極化が進んでいますね。

高齢者は全体として豊かになっているけれども、貯蓄ゼロ世帯が増えています。

勤労世帯では、全体として貧しくなっているけれども、一部で高額貯蓄世帯が増えています。

このような統計でも、日本人の貧困化と格差拡大の一端が見えてきますね。


少子高齢化、給与所得の減少・停滞、非正規労働者の増加、晩婚化・非婚化、単身者の増加など、様々な要因が絡み合っていると思いますが、特に高齢者に富が極端に偏っていて、勤労世代が減少しながらも貧困化している事は大変憂慮すべき状況なのかなと思います。

家計の資産が増え続けている正体とは、「高齢世帯の貯金額の増加」といっても良さそうです。

その裏には、高齢世帯以外の多くの勤労世帯の没落が考えられそうです。

家計全体としては資産が増え続けているけれども、そのほとんどは高齢世帯の資産が増えているだけで、その他の世帯ではむしろ減っているという事実が分かると思います。

統計は、全体や平均だけを見ていては実態が分かりませんね。

詳細まで見ると、むしろ全体で見た時の印象とは逆の真実が見つかることも多いのかもしれません。

皆さんはどのように考えますか?


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