099 人口減少でも経済成長できるか?

1. 日本の人口とGDPの関係

前回までは、G7各国の人口やGDPの関係について見てきました。

各国のGDPはもちろん人口増加とも密接に関わっているわけですが、人口が増えなければ経済成長できないというわけでもなさそうです。

今回は、人口が減りながらも経済成長している国々についてフォーカスしてみましょう。

まずおさらいですが、日本の状況を見てみましょう。

日本 人口・GDP 推移

図1 日本 人口・GDP 推移

図1が人口とGDPの推移を一つのグラフにまとめたものです。

人口が左軸、GDP(オレンジ)が右軸になります。

総人口が青、20-64歳の労働世代が水色、20歳未満の若年世代が緑、65歳以上の高齢世代が紫、労働人口が赤です。

日本の場合は2008年をピークに人口が減少に転じています。

1990年にGDPの増加が鈍化し、1997年にピークを迎えた後は横ばいとなっています。

このように見ると、人口増加のピークとGDPのピークにはタイミング的にずれがある事が確認できますね。

人口減少とGDP停滞がそれほど直接的な関係が無いという事を示しているとも言えそうです。

日本は1997年からの変化だとGDPも人口もほぼゼロです。

直近の1人当たりGDPは420万円くらいですね。

2. 日本と似ているはずのドイツでは?

工業立国で、少子高齢化の進む先進国という意味では、ドイツは日本とよく似ていると思います。人口も停滞しているドイツの状況も見てみましょう。

ドイツ 人口・GDP 推移

図2 ドイツ 人口・GDP 推移

図2がドイツのグラフです。

ドイツも2000年頃に人口のピークがあり、一度減少してから増加傾向にあります。

主に移民による増加ではありますが、それでも総人口は停滞気味です。

GDPは右肩上がりに増加していることが見て取れますね。

1997年からの変化で見ると、人口は1%プラス、GDPは1.7倍です。

消費者物価指数(CPI)は1.35倍ですので、実質でも1.2倍程度の成長と言えます。

直近(2018年)の1人当たりGDPは、40,000ユーロほどです。

ユーロ-円の為替が130円/ユーロほどですので、日本円で524万円程ですね。

日本の1.3倍くらいです。

3. 人口減少が進む他の国の状況は?

OECD加盟国の中には、他にも人口が減少したり停滞している国がいくつかあるようです。

ラトビア、リトアニア、リトアニア、ハンガリー、ポーランドといったあたりです。

リトアニア 人口・GDP 推移

図3 リトアニア 人口・GDP 推移

図3がリトアニアのグラフです。

日本よりも強烈に人口が減っていることがわかると思います。

若年世代も、労働世代も減少し、労働人口も停滞しています。

日本よりも人口構成としては厳しい状況であると言えそうですね。

それでもGDPは右肩上がりで増加しています。

GDPは総GDPですので、1人当たりにするとさらに増加していることになります。

1997年からの変化だと、人口は78%に減少していて、GDPは3.9倍になっています。

CPIは1.7倍程度ですので、実質でも2.3倍程度には経済成長しているわけですね。

猛烈に人口が減少している中で、経済発展している国の一つと言えそうです。

リトアニアの場合は1人当たりGDPは直近(2018年)で16,200ユーロくらいです。

日本円にすると210万円くらいですので、経済の水準が異なることは留意しておく必要があると思います。

ラトビアやエストニアもリトアニアとほぼ同じような状況です。

ハンガリー 人口・GDP 推移

図4 ハンガリー 人口・GDP 推移

図4はハンガリーのグラフです。

ハンガリーは1980年頃から一貫して人口が減少していますね。

GDPは増加を続けています。

1997年からの変化だと、人口は0.94倍、GDPは4.8倍(1人当たりGDPは5.1倍)になっています。

CPIは2.8倍ですので、実質GDPは1.7倍くらいに増加している事になりそうです。

1人当たりGDPは直近で160万円(436万フォリント)くらいです。

総人口はリトアニアが300万人くらい、ハンガリーが1000万人程度ですので、人口規模が日本と大きく違います。

比較的人口の多いポーランドも見てみましょう。

ポーランド 人口・GDP 推移

図5 ポーランド 人口・GDP 推移

図5がポーランドのグラフです。

ポーランドは総人口が4000万人近くで、比較的人口の多い国ですね。

総人口は1990年頃からほぼ横ばいです。

若年人口が減り、高齢人口が増えているので少子高齢化は進んでいるようです。

それでもGDPは右肩上がりに成長していますね。

1997年からの変化だと、人口は1.0倍、GDPは4.1倍(1人当たりGDPも4.1倍)です。

CPIが1.9倍程度になっていますので、実質GDPは2.1倍といったあたりです。

1人当たりGDPは直近で155万円(55,000ズウォティ)くらいですね。

今回比較した国は、1人あたりGDPでは日本の半分以下ですので、参考程度にしかなりませんが、それでも人口が減少したり停滞しても経済成長している国があるという事は、覚えておいてよいのではないでしょうか。

日本は人口が減少しながらも、経済が停滞しています。

「日本は人口が減るから国内需要が伸びない、だから海外に活路を求めよう」という機運が自己実現的に国民経済の衰亡を招いているようにも見えますね。

日本は国内企業の多国籍化が進み、海外展開が急速に進んでいる一方で、国内のビジネスが衰退しています。

世界ではグローバル化が進んでいるから、という意見も多いと思いますが、日本は海外への企業の進出(Outward)がすごい勢いで増えていますが、日本への外資企業の進出(Inward)は極めて限定的なのが特徴です。

アメリカやイギリスを始め、他の先進国はビジネスの流入も流出も相当程度あり、双方向的なのですが、日本だけ流出ばかりでまさに日本型グローバリズムと言っても良い状況ですね。

グローバル化と国民経済のバランスを明らかに失った国、と言えそうです。

全てが日本型グローバリズムのせいにするつもりもありませんが、逆に日本経済衰退の要因の全てを人口減少や少子高齢化のせいにもできない、という事が今回の結果からも言えるのではないでしょうか。


現在は日本は人口減少とともに衰退する衰亡国家と化していますが、むしろ、「人口減少をしながらも、1人1人が豊かに暮らせる国」を実現できる余地は大いにあるのだと思います。

そのためには、国内経済の好循環を取り戻す事が必要なのかな、と思います。

国内経済の好循環とは、国民所得の増加→消費の増加→企業の付加価値増加→国民所得の増加・・・という循環ですね。

今は、国民所得の減少→消費の停滞→企業の付加価値停滞(でも企業の利益増加)→国民所得の減少という悪循環ですね。

みなさんはどのように考えますか?

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