077 国民総貧困化社会に突き進む日本

1. 2008年以降 急速に進む貧困化

前回は、世代ごとの貯蓄額の推移について取り上げてみました。

若年層の世帯数は極端に減り、高齢世帯が急激に増えています。

そして、どの世代も中間的な資産を持つ世帯が減少し、貯蓄ゼロ世帯と、高額貯蓄世帯が増加するという2極化が進んでいることが分かりました。

これらは少子高齢化と格差の拡大が端的に表れている統計データと言えるかもしれません。

また、高齢者層に金融資産が極端に偏っているという事がわかりました。

それでは、高齢世帯はみんな豊かになっているのでしょうか。

貯蓄ゼロ世帯が増えていることからも、必ずしもそうではない事はわかると思います。

どうやら豊かになる人が増える一方で、貧困化する人も多いというのが実態のようです。

それでは、日本の貧困化とはどのようなモノでしょうか。

端的に数字として把握できるものは一つは、生活保護世帯に関する統計ではないでしょうか。

今回のコロナ禍で生活保護の申請が急増しているというニュースも流れていますね。

そもそも日本ではどのような状況なのでしょうか。

生活保護とは、厚生労働省によれば次のような趣旨で実施されているという事です。

「生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。」

詳細は厚生労働省のHPで公開されていますが、国立社会保障・人口問題研究所のHPの方にまとまったデータが公表されていましたので、そちらのデータをご紹介します。

生活保護世帯数 保護率の推移

図1 生活保護世帯数 保護率の推移

(社会保障・人口問題研究所 統計データ より)

図1は生活保護世帯数と保護率の推移です。

青が世帯数(左軸)、赤が保護率(右軸)のグラフになっています。

直近の2016年のデータでは、生活保護世帯数(1か月の平均)は164万世帯で、全世帯の3.3%程度となります。

保護率の推移を見ると、1990年頃までは減少していき、1990~1997年頃を底にして急激に増加しています。

生活保護世帯数も、最も少なかった1993年には59万世帯でしたので、20年程で3倍近くに急増したことになります。

2011年頃から横ばいになっています。

やはり1997年が出てきました。

1997年はGDPや平均所得のピークを付けた年です。

日本経済にとって1997年はまさに転換点だったと言えますね。

それにしても、家計の資産は増加を続けているのに、その一方で生活保護世帯が急増しているとは驚きです。

全体としては豊かになっているのに、生活に困窮している人も増えているという事は、貧困化と格差の拡大が進んでいると言えそうです。

2. 急激な高齢者の貧困化

次にもう少し年齢別の詳細を見てみましょう。

年齢階級別 生活保護 被保護人員の推移

図2 年齢階級別 生活保護 被保護人員の推移

(社会保障・人口問題研究所 統計データ より)

図2が年齢階級別の人数の推移です。

昔は20歳未満の子供が多かったようです。

1990年以降は60歳以上の高齢者が急激に増えています。

家計資産が増えているはずの、高齢層で大きく生活困窮者が増大している状況ですね。

20~50代の現役世代も近年ではそれぞれ増加傾向ですね。

2008年からの40代、60代の増加数が非常に大きい事も特徴的です。

近年で高齢者が増えているのは高齢化により絶対数が増加していることと、高齢者の単身世帯が増加している事も影響していると思います。

3. 貧困化はリーマンショックで加速

年齢階級別 生活保護率の推移

図3 年齢階級別 生活保護率の推移

(社会保障・人口問題研究所 統計データ より)

図3は各世代に占める生活保護の被保護者の割合の推移です。

時代ごとに年齢構成が変わるので、図2よりもこちらの方が全体に占める割合を把握しやすいのではないでしょうか。

やはり1990年代後半から、全ての年代で保護率が上昇していることが見て取れます。

特に60歳以上の高齢層で保護率が高く、増加率も大きいことが特徴的です。

2008年(リーマンショック)以降で各年代で急激に保護率も増加していますね。

40代、50代、60代で顕著です。

この世代はリストラの対象になることも多く、特に現在の40代はいわゆるロスジェネ世代ですね。

20代、30代はまだ増加率も低く済んでいそうです。

ただし、あらゆる世代で保護率が上昇しているという事は、全体的に貧困化が進んでいる事を意味すると思います。

4. 高齢者全てが豊かになったわけではない

資産分布を見ると高齢者ばかりが豊かになった印象もありましたが、生活保護の人数を見ると必ずしも高齢者全体が豊かになっているとは言い切れないようです。

確かに若年層と比べれば豊かになった人も多いけれど、生活に困窮している人も増えている、という事が言えそうですね。

特に、高齢層は単身世帯や、夫婦だけの世帯が増えています。

そのような世帯で生活保護受給者が増えているのも特徴的です。

世帯構成が大きく変化している事も、貧困化や格差が拡大する一つの要因かもしれませんね。

また、これから恐らく、大企業(もちろん中小企業もですが、、)で大規模なリストラが促進される可能性があると思います。

既に、金融機関やメーカーなどでは進んでいますね。

海外進出や自働化の進む大企業ほど、一部を除いて日本人労働者の必要性が薄れているためです。

そして現在のところ、大企業の40代、50代で労働者のだぶつき感があります。

既に20代、30代の若年層の労働者数は既に少ないですから、リストラの標的とされるのはこの中年層ではないでしょうか。

関連記事: エリートの先鋭化と一般層の崩壊

この世代がリストラされると、中小企業ではなかなか受け入れられる余裕もないでしょうし、再就職も難しい年齢になりますから一気に生活保護世帯へと転落する可能性もあるのではないでしょうか。

このような流れになってしまうと、日本の貧困化が急激に進んでしまう可能性がありますね。

現在はまだ「豊か」と言える層が多く残っていますので、日本経済が何とか持ちこたえているとも言えると思います。

これが10年、20年後に今の40代や50代が高齢層となった時、今ほどの豊かさ(資産)が維持されているでしょうか。

このままでは、国民総貧困化社会に突き進んでしまうのではないかと、非常に危惧しています。

私は、今がまさに、バランスを欠いてしまった日本の経済や社会の仕組みを改め、何とか方向転換を図る最後の転換点なのではないかと思います。

皆さんはどのように考えますか?

関連記事: 私たちはどれだけ貧困化したのか?

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