065 日本企業の資金繰り事情とは

1. 資金繰り事情を表す指標とは?

前回は、日本銀行の短観データより、雇用人員の過不足について取り上げました。

労働者は景気がよい時は不足、景気が悪くなると過剰と判断されているようです。

近年では、製造業では概ね過剰→不足気味へ、非製造業では慢性的な不足が続いています。

日銀短観では、様々な指標の統計結果が公表されていますので、今回はまた別の指標についてご紹介します。

参考: 短観調査表

今回は、資金繰りと金融機関の貸出し態度について取り上げてみます。

最近のコロナ騒動で休業を余儀なくされる企業が増えています。

その中でも給付金や休業補償の話題が盛んですが、そもそも各企業の資金繰りはもともとどの程度余裕があったのでしょうか。

図1 日本銀行 短観 資金繰りDI・実績

(日本銀行 短観データ より)

図1が日本銀行 短観データのうち、資金繰りDIの推移です。

資金繰りは、売上金など会社に入ってくるお金と、仕入れに要した支払いなど会社から出ていくお金をコントロールする事ですね。

資金が足りず、本来のタイミングで支払いができないと、仕入れ先に対しての信頼を大きく毀損しますし、会社経営としてはあってはならない事です。

資金繰りDIは、「貴社の資金繰り」という質問に対して、「1.楽である」、「2.さほど苦しくない」、「3.苦しい」の回答のうち、「1.楽である」と答えた割合から「3.苦しい」と答えた割合を差し引いたものです。

資金繰りDIがプラスであれば資金繰りが楽な企業が多い事を示し、マイナスであれば資金繰りが苦しい企業が多い事を示します。

図1を見ると、概ね大企業はプラスの領域、中堅企業はプラスになったりマイナスになったりといった推移、中小企業は概ねマイナスの領域となりますね。

近年では中小企業でもプラスの領域に上がってきている状況です。

それぞれの経済危機の都度、資金繰りDIもマイナス側に大きく落ち込む傾向は一致しています。

そして今回の消費増税による不況→コロナショックで1~3月期で既にマイナス方向への兆候が見え始めていますね。

2. 累積で見える資金繰り格差

図2 日本銀行 短観 資金繰りDI・実績 累積

(日本銀行 短観データ より)

図2は資金繰りDIを累積したグラフです。

統計的にはDIの累積に意味はありませんが、より実感値に近い推移として可視化できると思います。

累積データでは、大企業は右肩上がり、中堅企業は横ばいから上昇傾向、中小企業は右肩下がりから横ばい、といった感じですね。

大企業ほど資金繰りが楽で、中小企業は資金繰りが厳しい状況が表現されていると思います。

3. お金を貸したい金融機関

図3 日本銀行 短観 金融機関の貸出態度DI・実績

(日本銀行 短観データより)

図3は金融機関の貸出態度DIです。

「金融機関の貸出態度」という質問に対して、「1.緩い」、「2.さほど厳しくない」、「3.厳しい」の回答のうち、「1.緩い」と答えた割合から「3.厳しい」と答えた割合を差し引いたものです。

やはり金融危機のたびに大きくマイナスに落ち込む傾向がありますが、概ねほとんどの領域、区分でプラスになっています。

バブル崩壊直後の大企業に対する金融機関の貸出態度は相当厳しかった事がうかがえますね。

近年では、2011年頃から概ねどの企業にも貸し出し態度は緩いという傾向があるようです。

4. お金は借りやすいのに、経営は苦しい

図4 日本銀行 短観 金融機関の貸出態度DI・実績 累積

(日本銀行 短観データより)

図4は金融機関の貸出態度DIを累積したものです。

基本的に右肩上がりですね。

中堅企業・非製造業、中小企業は横ばいの時期が続きましたが、近年は右肩上がりとなっています。

企業からすると融資を受けやすい環境が続いているわけですね。

低金利が続いていますから、金融機関も融資に積極的という事でしょうか。

上記から見えてくるのは、中小企業からすると金融機関からお金は借りやすいのに、資金繰りが苦しいというリアルな状況ではないでしょうか。

借りられるものは借りておきながら、何とか遣り繰りしているような企業も多いのではないでしょうか。

そして今回のコロナショックで、休業を余儀なくされたり、そもそもの売り上げが激減するような企業が続出するわけですね。

次回の3-6月期の統計結果を見るのも怖いですが、情報が更新されたらまたグラフ化してご報告させていただければと思います。

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