はたして結婚は贅沢なのか!?

1. 少子化の原因は非婚化!

前回は、「国民生活に関する世論調査」の結果から、私達日本人の時間的なゆとりや生活観についての統計調査を取り上げました。

「時間的なゆとりはある」なかで、「収入はもっと増やしたい」けれども、貯蓄や投資より「毎日の生活を充実」させて、物よりも「心の豊かさ」に重きを置く生活を好む、という意見が多いという事がわかりました。

さて、最近の国民生活に関する話題では、初めて出生数が90万人を切ったという事が話題となりました。

人口減少が深刻化する中で、専門家も含めて様々な方がこの問題の分析をされていますが、本ブログでもちょっと違った切り口でこの問題を考えてみたいと思います。

日本人 出生・婚姻・脂肪・増減数 社会保障・人口問題研究所

図1 日本人の出生・婚姻・死亡・増減数

(国立社会保障・人口問題研究所データ より)

まず図1に長期時系列での、日本人の出生数、婚姻数、死亡数、増減数についてのグラフを示します。

出生数については戦後すぐの団塊の世代や1973年前後の団塊ジュニア世代で大きな山ができており、それ以降はずっと減少を続けていますね。

団塊の世代が年間260万以上に対して、2019年は86万人と1年間に生まれる日本人が1/3程度となってしまった事で大きな衝撃と共に報道されました。

赤いグラフは各年の死亡数を示します。

あまりフォーカスされませんが、死亡数も年々増加しているのがわかると思います。

2017年のデータでは出生数94万人に対して、死亡数130万人で差引40万人の減少となっています。

オレンジ色が出生数と死亡数の差で、人口の増減数を示します。

2005年あたりからマイナスに転じ、マイナスの割合が増えていることがわかります。

婚姻数も出生数とほぼ同期して減少しています。

その年の人口に占める婚姻数の割合を示す婚姻率では、1947年の12.0%がピークですが、直近の2017年では4.9%にまで減少しています。

人口に対して結婚する人の割合が半分以下になっているという事ですね。

黒いグラフ(右軸)が出生数と婚姻数の割合(ここでは”出生割合”と呼びます)を示します。

婚姻により出生数がどれだけ増えるかを示す指標と言えます。

(本来同じ人口を維持しようとした場合は、この数値は2.1以上必要です。)

この出生割合は1993年あたりから1.5前後でほぼ一定範囲に収まっています。

微小ではありますが、近年では少し上昇しています。

三橋貴明さんを始め、出生数が減っているのは、結婚する人が減っているから、という指摘がなされています。

出生割合が変わらないという事は、結婚してから子供を持つ夫婦の割合はほとんど変わらないという事を意味します。

したがって、結婚する人が増えれば、子供の数も増えるという事になります。

すなわち、結婚している人の割合が減っているから、生まれてくる子供の数が減っているのではないか、という因果関係を裏付けるわけですね。

2. 恐ろしい日本の人口推移シナリオ

日本人 年齢層別人口 社会保障・人口問題研究所

図2 年齢層別人口

(国立社会保障・人口問題研究所データ より)

図2に年齢層別の人口を示します。

2020年以降は想定値です。

0~19歳の若年層が1990年あたりから早々に減少していますが、2010年あたりから20~64才の労働年齢層が減少に転じています。

このままいくと、2065年には総人口が9000万人程度、労働年齢層が4200万人程度になってしまうというシナリオです。

0~19才の若年層が12%程度となり、全体に占める割合も14%程度に低下します。

1960年代には30%程度でした。

さらにその先も人口減少が加速するという事になります。

3. 急増する未婚者

それでは、婚姻数については実際にどのような状況なのかを見ていきたいと思います。

50歳 未婚割合 社会保障・人口問題研究所

図3 50歳時の未婚割合

(国立社会保障・人口問題研究所データ より)

図3には50歳時の未婚割合を示します。

1970年あたりから増加が見られ、2015年には男性で23.4%、女性は14.1%となっています。

離別、死別は別で集計していますので、純粋に50歳まで一度も結婚していない人の割合を示します。

現在では男性の約4人に1人が結婚していないという状況です。

女性も7人に1人が結婚していません。

婚姻数が減り、非婚化が進んでいるというのも頷ける結果です。

4. 結婚する意志が減退している

将来の結婚意思 社会保障・人口問題研究所

図4 将来の結婚意思

(社会保障・人口問題研究所データ より)

それでは、未婚でも結婚したいと思っている人はどれくらいいるのでしょうか。

図4に、未婚者に対しての将来の結婚意思の調査結果を示します。

徐々に「いずれは結婚したい」が減少し、「一生結婚するつもりはない」が増加していますが、それでも8割程度は結婚したいと考えているようです。

数値は男性の数値を記載していますが、女性も概ね男性と同じような傾向です。

それでは、結婚しない(できない)理由は何でしょうか。

内閣府の「結婚・家族形成に関する意識調査」では、次のような調査結果が報告されています。

現在結婚していない理由(シェア上位から表記)

選択肢は15個、複数回答可

<男性 H26>

1. 適当な相手に巡り合わないから 54.3

2. 結婚後の生活資金が足りないと思うから 35.2

3. 自由や気楽さを失いたくないから 29.1

————————————-

6. 結婚資金が足りないから 21.9

7. 雇用が安定していないから 20.3

<女性 H26>

1. 適当な相手に巡り合わないから 55.1

2. 自由や気楽さを失いたくないから 25.6

3. まだ若すぎるから 22.5

——————————

5. 結婚後の生活資金が足りないと思うから 19.2

8. 結婚資金が足りないから 15.4

9. 雇用が安定していないから 14.6

男性と女性で少し傾向が違うようです。

5. 経済的理由で結婚をあきらめる人が多い

圧倒的多数の「適当な相手に巡り合わないから」を除けば、男性は結婚後の資金が足りないというのが大きな理由で、他にも経済的な理由となる結婚資金、雇用の安定が上位に来ています。

つまり、未婚男性にとっては、経済や職業上の事情が結婚に対する大きな壁となっている、という事が言えそうです。

(「結婚しない理由」については、他にも興味深い調査結果がありましたので、別の機会に詳細を取り上げたいと思います。)

実際に、同じ統計調査の中で、結婚に必要な夫婦の年収を聞く設問に対しては、「490.3万円」が平均値となるようです。

未婚、既婚共に同じくらいの数値となっています。

首都圏では「524.5万円」と水準が高くなっています。

事業所規模・年齢層別平均給与 男性 民間給与実態統計調査

図5 事業所規模・年齢層別平均給与

(民間給与実態統計調査)

それでは、男性の所得は現在どのような状況なのでしょうか。

図5に、事業所規模、年齢層別の平均給与について示します。

それぞれの所属事業所規模(中小企業、中堅企業、大企業)と年齢層(30歳未満、30代、40代、50代、60歳以上)について、その属性の人数(横軸)と平均給与(縦軸)の中で、1999年から2017年の変化をプロットしたものになります。

所属事業所規模は、100人未満を中小企業、100~999人を中堅企業、1000人以上を大企業としています。

それぞれの線の終わり(マークがついている方)が2017年、始まり(マークが無い方)が1999年となります。

この18年間で、どの属性がどのように変化したのかがわかるように考えてみました。

右に移動すると人数が増え、左に移動すると減った事を示します。

上に移動すると平均給与が増え、下に移動すると減った事を示します。

まず印象的なのは、どの属性も全て下に下がっている(給与が減っている)という事です。

つまり、年齢層、企業規模共に、「勝ち組がいない」状況ですね。

30才未満では中小企業、中堅企業共に給与はそれほど減っていませんが、大きく人数を減らしています。

大企業の減り方が少し大きめでしょうか。

30代は企業規模関係なく、給与、人数共に減っています。

平均給与の減少は、30歳未満より大きいです。

40代は大企業になる程給与が大きく減り、逆に人数が大きく増えているようです。

大企業では100万円近く平均給与が減少しています。

50代は中小企業、中堅企業で給与が減り人数が減っているのに対して、大企業では給与が減って人数が増えています。

60才以上はどの企業規模でも給与が減って、人数が大きく増えています。

大企業では200万円近くも平均給与が減っています。

30才未満、30代の若年層から見れば、自分たちばかりでなく、自分たちよりも上の世代の給与も減っているわけですから、将来的にも不安を抱くのも当然と思います。

また、近年大企業でのグローバル化と社員のリストラが進んでいる事もあり、今度は大企業で増えてきた人数自体が減少に転じる可能性が高いのではないでしょうか。

結婚に必要な490万円を一人で稼ぐと考えるのであれば、20代ではかなり難しいでしょうし、30代でも大企業に勤めていない限りはやはり厳しそうです。

490万円を夫婦で負担し合う共働きを選んだ場合は、今度は子供を持つ場合に、どちらかが一定期間仕事を休職する(産休・育休)、という選択肢を取らざるを得ません。

やはり結婚(または出産)のハードルは高いと言えそうです。

正直20~30代には「結婚は贅沢」と思われても仕方のない状況ではないでしょうか。

6. 貧困化する男性労働者を救うには?

私は上記の事から、人口減少の一つの要因として、主に男性の低所得化によって結婚数が減っている事があげられるのではないかと考えます。

もちろん、前回までで見てきた通り、日本国民の価値観が変化していますので、結婚する事が良いと考える人ばかりではないでしょうし、そもそも経済的な裕福さに価値を置いている人ばかりでもないと思います。

 参考記事: 私たちは一体何に満足するのか

それでも、未婚者の中で「いずれは結婚したい」と考えている人はまだまだ高い水準(8割程度)ですし、特に男性の結婚しない理由の多くで”経済・職業的な事情”が大きく影響している事は確かだと思います。

したがって、特に40歳未満の層で給与水準が上昇すれば、必然的に婚姻率(出生率も!)が増加していくのではないかと思うのです。

特に大事なのは、急激に給与が上がるのではなく、少しずつでも上がり続けるという事だと思います。

給与が上がる前提で生活が送れれば、将来についても安心感が出ますし、「結婚しよう」と考える人の割合も増えてくるのではないでしょうか。

私達企業経営者にできる事は、やはり高付加価値な事業を創出し、長期にわたり従業員の給与を上昇させていくようなビジネスを展開していくという事だと思います。

そうすれば同じ企業に所属し続けるためのインセンティブにもなりますので、経営上も離職を防ぎ、質の高い従業員を維持しやすくなるというメリットもあると思います。

もちろん、これは人材育成などの人的投資もセットでの話となります。

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