「ゆとりある生活」好きな日本人

1. 時間的なゆとりは徐々に増えている

前回は、私達日本人が感じている生活の充実感、悩みや不安、生活の程度や今後の見通しについて取り上げました。

充実感があり、中くらいの生活程度と感じる人が多い中で、不安や悩みを抱え、今後の生活は同じくらいか悪くなると思っている人が多いという事がわかりました。

今回は同じ「国民生活に関する世論調査」の中で、時間や生活観についての統計結果をご紹介します。

時間のゆとりの有無 世論調査

図1 時間のゆとりの有無 

(国民生活に関する世論調査 より)

まず、図1に現在の生活での時間のゆとりの有無の調査結果を示します。

「ゆとりがある」の回答は1992年にかけて増加し、以降60~70%の高い水準が続きます。

「ゆとりがある」から「ゆとりがない」を引いたDIも徐々に高くなりプラス40%に近いレベルです。

都市規模別に見ると、「ゆとりがある」の割合は町村で高くなっているそうです。

性・年齢別に見ると、「ゆとりがある」の割合は男性の60歳代、70歳以上、女性の60歳代、70歳以上で、「ゆとりがない」の割合は男性の30歳代から50歳代、女性の18~29歳から50歳代で、それぞれ高くなっているようです。


従業上の地位別に見ると、「ゆとりがある」の割合は主婦、その他の無職で、「ゆとりがない」の割合は雇用者、自営業主、家族従業者で、それぞれ高くなっているようです。

職業別に見ると、「ゆとりがない」の割合は管理・専門技術・事務職、販売・サービス・保安職、生産・輸送・建設・労務職で高くなっているようです。

基本的に働いている人のゆとりはないけれども、高齢層ではゆとりがあると回答する割合が増加しているので、全体としても時間的なゆとりがあると感じる人の割合が増えている状況ですね。

2. とはいえ、時間よりも収入は増やしたい!

収入と自由時間 世論調査

図2 収入と自由時間についての考え方

(国民生活に関する世論調査 より)

図2は「収入と自由時間についての考え方」を示します。

「自由時間をもっと増やしたい」が30~40%程度、「収入をもっと増やしたい」が40~50%で推移しています。

常に「収入をもっと増やしたい」が上回っている状況で、DIも常にマイナスですね。

自由時間よりも収入を増やしたい人の割合の方が多い事がわかります。

性別に見ると、「自由時間をもっと増やしたい」の割合は男性で高くなっているそうです。


年齢別に見ると、「自由時間をもっと増やしたい」の割合は18~29歳、50歳代、60歳代で、「収入をもっと増やしたい」の割合は18~29歳から40歳代で、それぞれ高くなっているようです。

職業別に見ると、「自由時間をもっと増やしたい」の割合は管理・専門技術・事務職で、「収入をもっと増やしたい」の割合は販売・サービス・保安職、生産・輸送・建設・労務職で、それぞれ高くなっているようです。

若年層と高齢層は比較的収入よりも自由時間を増やしたい人が多いという事は、収入的にはあまり不足を感じていないようですね。

むしろ比較的若くて働く世代の方が収入をもっと増やしたいと感じているようです。

特に、販売・サービスや輸送・建設などの比較的低所得者の多い職業で収入をもっと増やしたいという意見が多いわけですね。

3. 「日々の生活を楽しみたい」が増えている!?

将来への備え 毎日の生活 世論調査

図3 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか

(国民生活に関する世論調査 より)

図3は「将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか」の回答結果です。

「貯蓄や投資など将来に備える」がもともと高い水準でしたが、徐々に減少しています。

逆に「毎日の生活を充実させて楽しむ」が徐々に増加し、1975~1985年頃から逆転しています。

近年では「貯蓄や投資など将来に備える」は30%前後、「毎日の生活を充実させて楽しむ」が60%程度の水準で推移しています。

DIも1985年頃からマイナスが続いています。

性・年齢別に見ると、「貯蓄や投資など将来に備える」の割合は男性の18~29歳から50歳代、女性の18~29歳から50歳代で、「毎日の生活を充実させて楽しむ」の割合は男性の60歳代、70歳以上、女性の60歳代、70歳以上で、それぞれ高くなっているようです。


従業上の地位別に見ると、「貯蓄や投資など将来に備える」の割合は雇用者で、「毎日の生活を充実させて楽しむ」の割合は主婦、その他の無職で、それぞれ高くなっている。

職業別に見ると、「貯蓄や投資など将来に備える」の割合は管理・専門技術・事務職、販売・サービス・保安職、生産・輸送・建設・労務職で、「毎日の生活を充実させて楽しむ」の割合は農林漁業職で、それぞれ高くなっているようです。

若くて働く世代が「貯蓄や投資など将来に備える」割合が高く、高齢層で「毎日の生活を充実させて楽しむ」割合が高いことがわかります。

4. 心の豊かさを求める人が多い

心の豊かさ 物の豊かさ 世論調査

図4 これからは心の豊かさか、また物の豊かさか

(国民生活に関する世論調査 より)

図4に「これからは心の豊かさか、また物の豊かさか」についての回答結果を示します。

「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きを置きたい」(以下「これからは心の豊かさ」)は徐々に高くなっていき、2000年頃から60%程度で推移しています。

「まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい」(以下「まだ物の豊かさ」)は徐々に下がっていき、近年では30%程度です。

DIも近年ではプラス30%程度で推移しています。

都市規模別に見ると、「これからは心の豊かさ」の割合は町村で高くなっているそうです。

性・年齢別に見ると、「これからは心の豊かさ」の割合は男性の60歳代、女性の60歳代、70歳以上で、「まだ物の豊かさ」の割合は男性の18~29歳から40歳代、女性の18~29歳、30歳代で、それぞれ高くなっているようです。


従業上の地位別に見ると、「これからは心の豊かさ」の割合は主婦で、「まだ物の豊かさ」の割合は雇用者で、それぞれ高くなっているようです。


職業別に見ると、「これからは心の豊かさ」の割合は管理・専門技術・事務職で、「まだ物の豊かさ」の割合は販売・サービス・保安職、生産・輸送・建設・労務職で、それぞれ高くなっているようです。

5. 結局私たちは何に満足しているのか

上記を総合しますと、「時間的なゆとりはある」なかで、「収入はもっと増やしたい」けれども、貯蓄や投資より「毎日の生活を充実」させて、物よりも「心の豊かさ」に重きを置く生活を好む、という意見が多いという事になります。

さて、これまで4回にわたり、「国民生活に関する世論調査」を取り上げてきましたが、総合すると下記のような特徴があるようです。

・ 比較的「満足度」の高い生活を送っている人が多い(特に食、住や余暇など、金銭的には「不満」が多い)

・ 日常生活では「不安や悩み」が多い中で、「充実感」を感じている人が多い

・ 今後の生活の見通しは「大して変わらない」か「悪くなっていく」と感じ、自分は「中の中」か「中の下」と感じている人が多い

・ 「時間的なゆとり」があり、これからは「心の豊かさ」に重きを置きたい人が多い

・ 自由時間よりも「収入をもっと増やしたい」と考え、貯蓄や投資よりも「毎日の生活を充実」させたい人が多い

もちろん、「国民生活に関する世論調査」は調査対象が①高齢層が多い、②比較的裕福な層が多い、③単身世帯が少ないという特徴があり、必ずしも満遍なく調査対象を抽出し、国民の総合的な統計調査としての性格を有しているわけではないという点には留意しなくてはいけないと思います。

今回の結果を見ても、やはり高齢層の意見が強く反映されている結果という事が分かったと思います。

ただし、上記のような「日本人像」が”統計の結果”として総合的に認識されるわけですね。

皆さんはどのように考えますか?

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以下私見です

世論調査については、私はもう少し、①若い世代、②低所得世帯、③単身世帯について、人口比の配分に合わせた調査結果であることを期待していました。

世論調査の調査票には「フェイス・シート」という部分があり、回答者の年齢や家族構成などの属性について聞いています。

この属性別(例えば「男女」や「年齢層」)に統計調査も掲載されています。

フェイスシートから明らかに高齢層に偏った調査結果である事は、前回指摘した通りです。

(50歳未満が37%しかいないなど)

ただし、回答者の所得水準については窺い知れないのです。

「比較的裕福」と思われる対象の割合が多いと思われるものの、実際の調査対象の所得水準の詳細がわからないという事が結果についての不自然さを増幅しているように思えます。

本来は所得水準毎に回答結果を整理する事ができれば、非常に有意義な分析ができるのではないでしょうか。

今後調査項目を精査する事があれば、その点を是非盛り込んでもらいたいものです。

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