018-2 「仕事」の価値を見直そう! 企業間格差編

1. 激減する中小企業

前回は、一人当たりの労働者が稼ぐべき付加価値について取り上げました。

今回からは、製造業に注目して、企業規模ごとの付加価値について考えていきたいと思います。

取り上げる統計は、「工業統計調査」です。

時代の変遷による傾向も見てみたいので、直近の2017年とその15年前の2002年のデータを比較してみます。

従業員数4~19名を小規模企業、20~299名を中規模企業、300~999名を大企業、1,000名以上を大手企業としています。

4名未満、個人事業は統計には含まれていません。

数値は1年間の総数です。

図1 事業所数 (工業統計調査 より)

まず事業所数ですが、2002年に約29万社あった企業が2017年には19万社程度に激減しています。

それぞれの企業規模で減少が見られます。

小規模企業で約4割減、中規模企業で約2割減、大企業で約半分、大手企業で約7分の1となっています。

特に小規模企業では実に8万社もの企業が減っていることは驚きですね。

図2 従業員数 (工業統計調査 より)

図2はそれぞれの階層で働く従業員の人数を示しています。

2002年では832万人、2017年では770万人が製造業で働いている状況です。

小規模企業、大手企業で働く人数が減り、中規模企業、大企業で働く人数が増えています。

2. 大手企業もお給料が減っている!?

図3 給与総額 (工業統計調査 より)

図3はそれぞれの階層で働く従業員の給与総額を示しています。

2002年に約37兆円、2017年に約34兆円の給与総額が企業から労働者に支払われたことになります。

従業員数と同じような傾向が見られますが、小規模企業と大手企業の割合に大きな差が生じています。

3. 稼ぐ力の変化

図4 付加価値額 (工業統計調査 より)

図4はそれぞれの階層で生み出された付加価値額となります。

2002年に約111兆円、2017年に103兆円の付加価値が生み出されています。

小規模企業の総額、大手企業の総額に大きな差異が生まれています。

図5 シェアまとめ (工業統計調査 より)

図5は上記で見てきた、2017年の事業所数、従業員数、給与総額、付加価値額を全体を100%とした場合の、それぞれの階層のシェアを示します。

大手企業は、事業所数では全体の0.3%ですが、給与総額で20.4%、付加価値額で24.0%を締めます。

逆に小規模企業は、事業所数では62.4%、給与総額で10.2%、付加価値額に至っては7.5%と大手企業に対して3分の1以下です。

さて、ここから今度は、従業員一人当たりの給与額と付加価値についても見てみましょう。

4. 1人当たりで見る世界

図6 平均給与 (工業統計調査 より)

図6は平均給与を示します。

それぞれの階層での給与総額÷従業員数です。

2017年では小規模企業で319万円、中規模企業で407万円、大企業で512万円、大手企業で630万円です。

小規模企業と大手企業で約2倍の開きがあります。

2002年と比べると小規模企業~大企業までは増加していますが、大手企業では減少しています。

図7 一人当たり付加価値額(工業統計調査 より)

図7は一人当たりの付加価値額です。

日本の製造業は他の業種と比べて付加価値を稼ぎやすいと言われていますが、どうでしょうか。

付加価値の総額÷従業員数です。

2017年では、小規模企業で708万円、中規模企業で1,143万円、大企業で1,707万円、大手企業で2,225万円です。

2002年と比べるとやはり小規模企業~大企業では1割程度増加していますが、大手企業では減少しています。

前回のブログでは、日本の労働者の一人当たり付加価値額は年間712万円と推定しました。

企業規模が大きくなるほど付加価値を稼ぎやすくなっていますが、製造業の場合は小規模企業でも平均的な付加価値を稼げている計算ですね。

平均的な年間の総労働時間が1,721時間ですので、それぞれを平均的な労働時間で割ると次の通りです。

いわゆる労働生産性ですね。

小規模企業: 4,427円/時間

中規模企業: 7,142円/時間

大企業: 10,670円/時間

大手企業: 13,904円/時間

小規模企業と大手企業との間に3倍程度の格差がある事がわかります。

いかがでしょうか、今回は製造業の企業規模ごとに給与や付加価値の平均値を算出してみました。

特に小規模企業は給与水準も、付加価値額も低く、淘汰が進んでいる状況がわかります。

全体でみると企業数は顕著に減少(29万→19万)していますが、従業員数(832万→770万)はそれほど減っていません。

より高付加価値な企業規模へと統合が進んでいる事が示されているのかもしれません。

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