018-1 「仕事」の価値を見直そう! 付加価値編

1. あなたの「仕事」の価値とは!?

今回は、当社が最もこのブログでお伝えしたい事の一つを書きたいと思います。

それは、自分たちの仕事の「価値」を見直そうという事です。

「仕事」は「自己実現の場」だったり、「社会貢献の手段」だったりと、人によって様々な捉え方があると思います。

最も多い意見は、「生活の糧を稼ぐ方法」ではないでしょうか。

「労働」の対価として「給与」をもらう、という事ですね。

しかも、人生の多くの時間を費やす活動でもあります。

それでは、皆さんの「労働」は、企業経営者やお客様にとってどれくらいの価値があるのでしょうか。

自分のお給料を時間で割って、自分の時給を計算した事は、皆さんもありませんか?

最低賃金が時給1,000円と言われる昨今ですが、自分の時給は、1,500円でしょうか、2,000円でしょうか。

これがお客様にとってのあなたの労働の価値でしょうか??

私の結論は、次の通りです。

「企業経営者は、熟練従業員一人の労働に対して

     少なくとも4,500円/時間の付加価値を認め

        顧客に要求できるような事業を作るべき」

今回は、「平均給与」「労働分配率」「付加価値」「労働時間」を順に考えていく事で、この事を解き明かしていきたいと思います。

2. 仕事の「付加価値」を計算してみよう!

さて、以前のブログでもご紹介した通り、現在の日本における労働者の平均給与は「422万円」です。

平均所得の推移

図1 平均所得

男性だと、521万円、女性だと280万円でした。

1997年のピークよりも50万円以上下がっています。

次に一人当たりの付加価値について、考えていきます。

皆さんは「付加価値」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「付加価値とは、企業が生産によって生み出した価値であり、企業の総生産額から、その生産のために消費した財貨や用役の価額を差し引いた額」

(ブリタニカ国際大百科事典)

ちょっと難しい表現ですが、要するにそれぞれの企業が、自分たちの事業活動を通じて付け加えた価値の事を指します。

労働者目線で考えれば、「自分のした仕事の金額的価値」といえるものです。

町工場で言えば、例えば自分が金属の塊を削って、部品を作り出した際のお客さんに請求する加工賃と言えます。

付加価値と人件費の割合を、労働分配率と言います。

人件費 ÷ 付加価値 = 労働分配率

逆に、人件費から一人当たりの付加価値が算出されます。

人件費 ÷ 労働分配率 = 付加価値

まず、日本の全法人企業の付加価値、人件費、労働分配率を見てみましょう。

(これは以前ブログ内でもご紹介した図です)

労働分配率 法人企業統計調査

図2 労働分配率 (法人企業統計調査 より)

日本では、全ての企業を通じて直近2017年では312兆円の付加価値を生み出しています。

そのうち、206兆円を人件費にあてています。

付加価値は年々増えていますが、人件費は横ばいとなっていますので、その比率である労働分配率は右肩下がりとなっています。

直近2017年では、66.2%です。

人件費は、企業側の負担する社会保険料等の法定福利費など福利厚生費も含みます。

同じく、給与と福利厚生費の比率を示すと下図のようになります。

福利厚生費率 法人企業統計調査

図3 給与-福利厚生費率 (法人企業統計調査 より)

この数値は、給与と福利厚生費の割合です。

自分のお給料に対して、実は会社側は13%程度のプラスの人件費を負担しているわけですね。

ここ10年ほどでは、12.5~13.1%の幅でほぼ横ばいと言えると思います。

さて、ここでやや強引ではありますが、平均所得を稼いでいる労働者が年間に稼ぐ付加価値額を計算してみます。

平均所得: 422万円

労働分配率: 66.2%

給与-福利厚生費率: 13.1%

まずは人件費ですが、平均所得の13.1%増しとなりますので、下記の通りですね。

人件費 = 1.131 x 422万円 = 477.3万円

次に付加価値は、人件費÷労働分配率ですので、次の通りとなります。

付加価値 = 477.3万円 ÷ 0.662 = 721万円

一人の平均的な労働者が年間に生み出す付加価値は721万円ということですね。

3. 日本人の「生産性」とは!?

さて、次に時間当たりの付加価値はいくらなのかについても、考えてみたいと思います。

実労働時間 厚生労働省 労働統計

図4 実労働時間 (厚生労働省 労働統計 より)

図4は厚生労働省の労働統計 実労働時間の統計結果をグラフ化したものです。

参考までに日本経済がピークだった、1997年のグラフも追加してあります。

右肩下がりの傾向で、直近の2017年では年間で1,721となっています。

平均的な労働者が年間で働く時間が1,721時間という事ですね。

年間の付加価値をこの労働時間で割れば、1時間当たりの付加価値(いわゆる労働生産性)になります。

労働生産性 = 721万円 ÷ 1721時間 = 0.419万円/時間

平均的な労働者が1時間当たり、4,200円程度の付加価値を生み出している計算ですね。

実際に、この数値は以前ご紹介したOECDの統計データとも合致する数値です。

直近(2017年)で42.1US$です。

1ドル108円で換算すれば、4,546円/時間となります。

労働生産性の推移 OECD

図5 労働生産性 (OECD統計データ より)

この数値は、他の先進国と比べても決して高い水準ではない事は先に示した通りです。

日本人は優秀な人材が多い割りには、平均所得や労働生産性が低い事も指摘しました。

それでも、1時間当たりに4,000~4,500円の付加価値を生み出しているわけです。

あなたの感覚として、これは高いでしょうか、安いでしょうか。

4. 経営者による「労働者の安売り」

私は、まだまだ安いと感じます。

本来は例えばドイツやアメリカと同じくらいの水準で考えれば、6,000~7,000円/時間の労働生産性があるべきと思います。

また、実際の経営の現場を考えれば、従業員全員が付加価値を生み出す要員ではありません。

経理や法務、開発など、企業を動かすために必要な部門や、将来の価値を高める活動などは、直接的に付加価値を生み出しません。

その分は営業、製造、物流など、直接的に付加価値を生み出す部門に割りがけられなければなりません。

したがって、付加価値を生む部門の要員の労働生産性は、上記よりも更に高い水準でなければなりません。

以前も少し取り上げましたが、中小製造業の値付け感で考えると、4,000円/時間の時間チャージはまだまだ高い水準です。

2,000~3,000円/時間程度が現在でも標準的ではないでしょうか。

自働機械の値付けではなく、汎用旋盤や溶接など、あくまでも”職人”の仕事についてです。

例えば、私が4,500円/時間の見積を出すと、概ね”今仕事を出している所に比べて2~3倍の金額”と言われます。

機械化によって淘汰される職人の仕事はやむを得ないと思いますが、多品種少量品の生産などではまだまだ”人”の介在する仕事が多くなると思います。

むしろ、”人”の関わるところにしか本当の意味での付加価値はつかないと思うのです。

その”人の労働”に対する対価を4,500円/時間とする事は、果たして高いのでしょうか。

当然企業規模の格差や、設備によるビジネススタイルの違いによって、この労働生産性は大きく変わると思います。

詳細については、また後日取り上げたいと思いますが、今回はまず皆様に平均的な労働生産性について知っていただければと思います。

そして、私達企業経営者が、平均的な従業員の労働生産性を認識し、自分たちの会社はどうか振り返ってみて欲しいと思います。

大事なのは、人の手が必要な仕事はその人材の教育により生産性を上げる「人材投資」、機械化や新技術によって生産性を高められるのならば「設備投資」や「技術投資」を継続的にしていく事ではないかと思います。

よく耳にするのは、「うちは償却の終わった機械で加工してるから、ほとんど人件費だけで仕事を取れている」などと言っている経営者さんの話です。

償却の終わった機械が壊れて使えなくなってしまったら、どうするのでしょうか。

新しい機械を買っても同じ金額で仕事をとるのでしょうか。

その場合は何を削るのでしょうか。

きっと自分(経営者)と従業員のお給料ですよね。

実はこのようにして、人件費を下げてしまっている中小零細企業も多いのではないかと思います。

まずは、経営者の皆さんが仕事の意味を見つめなおして、しっかりとした対価をいただける事業を再構築する必要があるのではないでしょうか。

あるいは、今まで過度に安価な仕事を見直し、適正価格に変更する事も必要になってくると思います。

「企業経営者は、熟練従業員一人の労働に対して少なくとも4,500円/時間の付加価値を認め、顧客に要求する事」

「企業経営者は、上記の仕事を事業として成立するような、人材投資、設備投資、技術投資を行う事」

これをまず第一のステップとして、皆様にも考えていただければと思います。

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