はたして日本は先進国か まとめ編

1. バブルチャートを見てみよう!

前回までに、OECDの統計データを用いながら、OECD加盟35か国の平均所得と労働生産性について見てきました。

いずれも日本は35か国中20位程度と、残念な順位に甘んじていることがわかりました。

私が最近読んだ本に、「FACTFULNESS」(オーラ・ロスリング著, 日経BP社)という本があります。

そこでは世界中の統計データを、実に様々な見せ方で視覚的に表現しています。

その中でもバブルチャートは大変有効な表現方法という事を知りました。

今回は、そのバブルチャートを活用して、今まで見てきたデータを視覚的に整理してみたいと思います。

労働生産性と平均所得のバブルチャート 2017

図1 労働生産性と平均所得のバブルチャート (OECD統計データ より)

図1にバブルチャートを示しました。

横軸は労働生産性[US$/h]、縦軸に平均賃金[US$]とし、各国の位置をプロットしています。

各国を示す丸の大きさは、その国のGDPの大きさを示します。

右上に行くほど、労働生産性も高く、平均賃金も高い国である事を示します。

まず第一に、労働生産性と平均賃金には明らかな正の相関がみられます。

つまり、労働生産性の高い国は、概して平均所得も高いという事です。

しかも、比較的丸の大きなアメリカ、日本、メキシコの位置を見ればわかる通り、GDPの大きさはこの相関とはほとんど関係なさそうです。

GDPの総額が大きいからと言って、国民一人一人が豊かであるとは限らない、という事を物語っていると思います。

丸の小さな、スイスやオランダ、オーストリアなどがアメリカやドイツと同程度の右上に位置していることからもわかると思います。

グラフ上には、労働生産性と平均所得それぞれについて、OECD平均値、G7平均値の線も引いてみました。

労働生産性、平均所得ともにG7の平均を上回っているのは、アメリカとドイツだけです。

逆に、日本とイタリアは労働生産性も、平均所得もG7の平均どころか、OECDの平均値にすら届きません。

厳しい見方をすれば、先進国としての落第生と言ってしまっても過言ではないでしょう。

2. 賃金は実力相応に落ち着いた?

労働生産性 平均所得 順位

図2 労働生産性、平均所得 順位 (OECD統計データ より)

もう一つ面白い傾向がありました。

図2をご覧ください。

これは、「労働生産性」と「平均所得」について、2000年以降のOECD35か国中の日本の順位を示しています。

労働生産性は18年間ずっと20位です。

平均所得については、18年かけて徐々に下がり、11位から19位へと転落しています。

「労働生産性のわりに、所得水準が高い国」から、18年かけて「労働生産性なりの所得の国」になったと言えそうです。

3. 今、経営者が考えるべき事とは

以上のことから、「労働生産性を上げて、平均所得を上げる事で労働者を豊かにできる」とも言えそうです。

私達経営者がやるべきは、まさにこれではないでしょうか。

労働生産性を上げる、と言っても色々な方法が考えられます。

「労働生産性」は、「一人の労働者が単位時間に稼ぐ付加価値額」となります。

通常は、設備投資や技術投資をして、どのような労働者でも効率よく稼げるようにする事を意味すると思います。

経済学的には、それが正解なのでしょう。

売値が同じ製品を、例えば自動化などの投資をして、単位時間あたりに生産する数量を増やす事=生産性を上げる事だからです。

リアルな企業経営をしている場合、実はもう一つ大きく生産性を上げる方法があります。

単位時間に生産する数量が変わらなくても、モノの値段が上がれば良いのです。

これには二つの方法があります。

(1) 生産数量が変わらなくても付加価値の高い製品に生産品目を変える事(製品の高付加価値化)

(2) 数量も、製品も変えず、売値を上げる事(適正価格への是正)

(2)については、適正以上の価格に売値を上げても、”見えざる手”によって淘汰されるだけでしょう。

しかし、不当に安価な売値のモノやサービスを、適正価格に是正していく事、は大変重要なことと思います。

私が普段感じているのは、あまりにも不適正な、安価なビジネスが横行している事です。

私の属する、中小製造業では、職人一人の時間チャージが2,500円/Hなど当たりまえです。

ここで言う時間チャージはまさに労働生産性そのものですね。

日本の平均が41.8US$/hですので、1ドル=110円としても、4,600円/H程度です。

それでも先進国では、低い水準である事は先に見た通りです。

先進国というからには、本来6,000円/H程度の対価が得られるべきでしょう。

それが、あろうことか、1,500~2,500円/Hという値付けがあまりにも多いのです。

これでは、自分たちの”仕事”を、あまりにも安く売りすぎてはいないでしょうか。

私が主張したい事は、まさにこの事なのです。

このような安価な値付け感を是正する、あるいは同じ日本国民の生産したモノやサービスに相応の対価を支払う感覚を広めていくべきではないでしょうか。

日本人の感覚には馴染まないかもしれませんが、経営者の皆さんはどう思われますか。

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